4つの段階に分かれます。
打ち手も変わります。
新規集客の効果が続きません。
前年比で客数が落ちた。会議でそう報告が上がると、次に出てくる言葉はだいたい決まっています。
「SNSを強化しよう」「広告を出そう」「イベントをやろう」。
どれも打ち手としては間違っていません。ただ、その前に確認しておきたいことがあります。
その客数は、どの段階で落ちたのか。
実は、「客数」と呼んでいるものが4つある
商業施設に出店している店舗の場合、お客様が買い上げに至るまでには段階があります。ひとつの数字ではありません。
レジで数えている客数は、この4段目です。4段目だけを見ていると、1段目から3段目のどこで減ったのかが分かりません。
そして、それぞれの段階で落ちる理由は別のものです。
※ 図の比率は段階の関係を示すための例です。実際の数値は業態・館・立地によって異なります。
どこで落ちたかで、打ち手は変わる
入館客数が落ちている場合。
原因は自店ではなく、館側にあります。デベロッパーの集客施策、館全体の話題性、周辺環境の変化。この場合、自店だけで広告を打っても、母数が減っている事実は変わりません。まずデベロッパーに入館数の推移を確認し、館としてどう手を打つのかを聞く段階です。
店前通過客数が落ちている場合。
館内の導線が変わった可能性があります。近隣区画のテナントが入れ替わった、エスカレーターの動線が変わった、催事スペースの位置が動いた。館全体の客数が変わらなくても、自店の前を通る人だけが減ることは起こります。
入店客数が落ちている場合。
通る人は減っていないのに入らない、という状態です。ここで初めて店頭が論点になります。入口の見え方、正面の打ち出し、マネキンの提案、照明。「入りたい」と思われているかどうかの話です。
買い上げ客数が落ちている場合。
入ってはいるが買われていない。店内の回遊、商品の探しやすさ、コーディネート提案、試着への案内、接客。ここは集客とは別の領域です。
4つのどこで落ちているかを確かめないまま販促費をかけると、1段目が原因なのに3段目の打ち手を打つ、というズレが起きます。
なぜ、本質を取り違えるのか
段階に分ければいい、と書くと簡単に見えます。それでも取り違えが起きるのは、本部と現場で見えているものが違うからです。
本部から見えるもの
- レジを通った客数と売上
- 前年比、予算比、他店比較
- 全店を横に並べた数字
- 店前の状況は、訪店したときだけ
現場から見えるもの
- お客様が足を止めるか、通り過ぎるか
- 館内のどこから人が流れてくるか
- 試着まで進んだのに買わなかった理由
- 数字にならない気づき
本部は数字を持っていますが、店前で何が起きているかは見えていません。現場は日々見ていますが、それを数字として本部に渡す手段を持っていないことが多いのが実情です。
結果として、本部は「客数が落ちた=集客の問題」と読み、現場は「言っても伝わらない」と黙る。どちらも悪意はないまま、原因の特定が飛ばされます。
満足度が落ちている店に、新規集客は効かない
もうひとつ、押さえておきたいことがあります。
原因が3段目や4段目、つまり店頭や接客の側にある場合です。このとき新規のお客様を増やしても、来店した方の満足が下がっている状態は変わりません。
集めた分だけ「一度来て、次は来ない」お客様が増えることになります。販促費は毎回かかり、リピートは積み上がらない。穴の空いた器に水を足し続ける形になります。
客数の回復を新規獲得だけで設計すると、この構造に入りやすくなります。既存のお客様がなぜ戻ってこないのかを先に見るほうが、費用をかけずに効く場合があります。
Today's Action
今週、4つの段階のうちどこで落ちているかを確かめます。特別な仕組みは要りません。
最後に
客数が落ちたときに集客を考えるのは、自然な反応です。
ただ、集客は手段のひとつであって、原因ではありません。どの段階で人が減ったのかを分けて見ると、打つべき手は自然に絞られます。
そして、その答えは本部の数字だけでも、現場の実感だけでも出てきません。両方を突き合わせたときに、はじめて見えてきます。
※ 本記事は、商業施設に出店する店舗運営における一般的な考え方です。有効な打ち手は、館の特性、立地、業態、契約条件によって異なります。